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1/19 サイエンスカフェ「はやぶさ」から「はやぶさ2へ」

「これはカフェではなく、講演会ですね」
後ろの方まで一杯になった会場を見て、吉川先生はそう言いました。

このサイエンスカフェには、何回かお邪魔してお菓子とコーヒーを頂いて聴講しています。
しかし、ここまで一杯になったのは、4月に開催された「地震と放射線」の時以来(緊迫感は全く違いますが)。

それもそのはずで、今回の講師はJAXAの吉川真先生。
「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャー(現在は、「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーも兼ねているそうです)。
今回は、その「はやぶさ」の成果と2014年打ち上げを目指す「はやぶさ2」のお話を聞いてきたので、要点をまとめて書いておきます。

おことわり:yochiはど素人レベルです。内容を誤解していたり、そもそも理解していない可能性があります。ご了承ください。)

「はやぶさ」が持ち帰った微粒子を分析した結果、いろいろなことがわかったようです。
ざっと、まとめてみます。

  • イトカワの元になった、いわゆる母天体は10kmくらいの大きさがあった。そこに他の天体が衝突し、もう一度集まって(再集積)できた。
  • 宇宙風化。太陽風等の影響で、イトカワの表面は少しずつ流出している。その流出状況を確認できた。
  • 地球に落ちてくる普通コンドライト隕石とS型小惑星は同一であると証明できた。

一部、昨年7月の特別公開で聞いた話も含まれていますが、1mmにも満たない微粒子から、よくここまでわかるものだ…。

この「はやぶさ」が取ってきた試料ですが、この春に全世界向けに公募を行い、それが終わったところで「はやぶさ」プロジェクトは解散になるそうです。
関係者の皆さま、お疲れさまでした。

 

話を戻すと、この「はやぶさ」にはいくつか「想定外」があったそうです。
そのうち、最大の想定外だったのが、イトカワの形(一番下の写真参照)。
…そりゃ、誰もラッコのような形は想像しないもんな。
それでも、こういう「科学的な想定外」は歓迎なのだそうです。

次に、技術的な「想定外」
リアクションホイールが故障して、化学エンジンで姿勢制御することになったこと…までは想定「内」だったそうです。
その化学エンジンが故障したところからが想定「外」だったそうです。
その後の、数々の「想定外」はあまりにも有名なので、ここでは繰り返しません。

そして、帰還後も「想定外」だったそうです。
カプセルを見に、大勢の人が集まったこと、映画が3本も作られたこと…。
そして、そのうちの1本の予告編を上映。
「はやぶさ」の運用を巡って、熱い激論を戦わせる場面に、
「あんなに激論をかわしていない」
と先生。もっと淡々と、冷静だったそうです。
そして、付け加えました。
「あんなにかっこ良い人が集まっていない」
それはわかって…

「はやぶさ2」にあたっては、科学的想定外は歓迎、技術的想定外は少なくしたい。
そして、「その他の」想定外については、
「トラブルは少ないはず。映画にはならないでしょう」
それならいいんだけど…。

 

そして、話は「はやぶさ2」へ。
「はやぶさ2」では、C型小惑星「1999 JU3」を探査します。
「C型小惑星」は水や有機物を含んでいると考えられていて、そのC型小惑星のうち、地球に近い軌道にあるのは「1999 JU3」だけだとか。
うん。わかりやすい選定理由だ。

この「1999 JU3」は、大きさは900m余りとイトカワより少し大きく、形も球に近いそうです。

 

それを探査する「はやぶさ2」ですが、細かな改良を除いて「はやぶさ」とほぼ同じ…と、思ったら1つ大きく違う所が。
ハイゲインアンテナが横に2つ並ぶ形。
「Kaバンド」というアンテナを追加して、たくさんのデータを送れるよう、改良したそうです。

ちなみに、アンテナ2つを積んでいる絵は、レジメ中1枚だけで、他のCG等は全てアンテナ1つ。最近、変更になったようです。

 

さて、打ち上げ後の計画は、2014年7月または12月に打ち上げ、地球スイングバイ。到着後、まず小惑星を調べて、ランダ(※)とローバー「ミネルバ2」を降ろし、タッチダウンしてサンプルを採取。
さらに上空で衝突装置を爆発させて、放射線等で変質していない、地下のサンプルを採取する予定とのこと。
(※ランダは、ドイツで開発が進められている観測機器だそうです)

最後に、小惑星探査の意義(科学、資源、スペースガード等)を訴えて、講演は終わりました。

 

この後の質問にも、長い時間答えていただきました。
興味深い内容でしたので、メモできた範囲で、まとめておきます。

  • (観測機器を入れ替えたのは?)
    「はやぶさ」の蛍光X線分光計は、太陽活動が活発でないと使えない。「はやぶさ2」が到着する頃は、ちょうど太陽の活動がミニマム。そこで中間赤外カメラにした。小惑星の表面が黒いので、熱の方が重要。
  • (イオンエンジン以上に効率の良いエンジンは?)
    イオンエンジンはキセノンと太陽の光で動く。つまり、燃料の一部を現地調達している。力は弱いが、長時間使える。
    「あかつき」は金星軌道に乗る時に、一気に噴かす。こういう時には、イオンエンジンは使えない。
    別に「イカロス」。これは、太陽光で軌道を変える。
    他はまだ実用まで行かない。
  • (小惑星は全部で何種類?)
    小惑星は全部で十数種類。大きく分けると、S型とC型。
    D型が木星近くのトロヤ群。これは隕石が落ちて来ないので、全くわからない。M型はメタル、金属ではないかと言われている。これらの特徴的な物に行きたい。
    もっと大型にした「はやぶさMk2(マーク・ツー)」で、D型小惑星に行きたい。ただ、全く決まっていない。
  • (2014年〜2015年打ち上げは位置か?帰りが速いのは?)
    2014年7月でも12月でも、2015年12月地球スイングバイは同じ。軌道で決まる。
    帰りが速いのは、行きは小惑星のスピードに合わせる必要があるが、帰りは地球にぶつければ、大気で減速できるため。
  • (爆発させた衝突装置自体を検出することはないか?)
    なるべく、小惑星への汚染を避けたい。上空数百mなら、小惑星への影響も少ない。
  • (小惑星から帰ってきた後、どうするのか?)
    「はやぶさ」も地球スイングバイして、どこかの小惑星を調べる予定だった。
    ラグランジュ点に持っていきたい。ここに、深宇宙港を作る構想がある。このラグランジュ点には、地球からしか行ったことがなく、他から飛んできて行ったことはない。将来的には、ラグランジュ点に燃料補給基地や望遠鏡を設置できれば。コロニーは考えていない。
  • (H−ⅡAなら余力があると思うが、相乗りは?)
    4段式のM−Vロケットと違い、2段式のH−ⅡAは人工衛星を打ち上げるのには向いているが、惑星探査機には全く向いていない。加速が得られず、あまり余力がない。
    「あかつき」では「イカロス」を積んだが、今回は余力がなく、考えていない。そもそも打ち上げ自体、どうなるかわからない。

2年後に迫った打ち上げが「どうなるかわからない」では、現場も困るだろうな…と思っていたら、この1週間後に開発に進むことが認められたそうです。
とりあえず、よかったと言っていいのかな。
途中で何回も、「来年度予算が要求の半額以下になった」と言っていたけど…。

 

最後に、休憩時間と終了後に撮った写真を貼っておきます。

Photo

これは吉川先生が持ってきたイトカワの模型(1/2,000)です。横のシャーレの中に入っているのは、同縮尺の「はやぶさ」。
「よく、こんな小さいのを作ったな」
と、変なところに感心する自分。
でも、よく考えれば、小さいのはイトカワの方。
だって、普通、天体と探査機(例:月とアポロ)を比べたりしない…。

Photo_2

こちらは、「はやぶさ」の探査に基づいて作ったイトカワの模型(上2つ)と、レーダー等の観測で予測されていたイトカワの模型(中2つ)。あまり似ていない…。

そして、左下に見える白い模型が、「はやぶさ2」が目指す1999 JU3の模型。
もっとも、1999 JU3はレーダー観測もできていないため、予測で作ったイトカワの模型(中2つ)よりも精度が悪いらしいです…。

て、ことは。
「はやぶさ2」が着いたら、またびっくりするんだろうなあ。

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