7/27-28 JAXA相模原キャンパス特別公開2012(前編)
朝の新幹線は混んでいました。
それでも、親子連れの横に空席を見つけて、なんとか座ることができました。
隣の親子(小学生と、その母らしい)は夏休みのようで、楽しげな会話が聞こえてきました。
…ん?「イプシロン」? まさか、ロケットのことじゃないよね。
ところが。
「『はやぶさ』に行って『あかり』に行って…『れいめい』の運用はどうしようかな?」
どうやら、目的地は同じのようでした。
横浜Fマリノス戦(@日産スタジアム)の前に、今年もJAXA相模原キャンパス特別公開に行ってきました。
関係者の皆さま、本当にありがとうございました。
今年も楽しかったです。
(過去の特別公開はこちらです。2010、2011前、2011後)
(おことわり:これも毎年書いていますが、yochiはど素人レベルです。丁寧な説明をいただいたにも関わらず、内容を誤解したり、そもそも理解していない可能性があります。ご了承ください。この駄文から、特別公開の楽しい雰囲気を汲み取っていただければ幸いです)
「JAXA相模原キャンパス特別公開」は年一回、7月に2日間行われているものです。
内容は最新の研究成果から、夏休みの子ども達向けの体験教室まで、幅広いものです。
それらも素晴らしいのですが、もっと素晴らしいのは、JAXAの中の人が懇切丁寧に説明をしてくれることです。
その雰囲気は、大掛かりにした「学祭」といったところでしょうか。
今年も写真で振り返りながら、伺った話の一部を書いておきたいと思います。
はやぶさ、はやぶさ2:
…あいかわらず、人が多いな。
第1会場入り口付近は、毎年、大勢の人です。
それで避けて通っていたため、最初は気づきませんでした。
2階から、階段を降りてきたとき、叫んでしまいました。
「あ、『はやぶさ2』になってる」
平面アンテナが横に2つ並ぶ、「はやぶさ2」になっていました。
いや、「はやぶさ2!」のようです…。
見てのとおり、衝突装置「新規開発!」も付いています。
え?テープで固定してる??
「はやぶさ」を変装させてるだけじゃないか??
そんなこと、あるわけ…あるな。
展示を見回っているうちに、気づいたことが。
「ん?『分離カメラ DCAM3』??」
(ここで証拠写真を貼る予定でしたが、うかつにも、撮影していませんでした<(_ _)>)
半年前、吉川先生のサイエンスカフェでお話を聞いた時にも、これは無かったと思います。
ようやく、中の人をつかまえて伺った所によると、衝突装置を爆発させる際、小惑星の陰に退避する本体に代わって、撮影を行うのだとか。
やっぱり、衝突装置を爆発させるところ、見たいもんな。
あ、いや、 決して、興味本位ではないです。
クレーターができるところを撮影できれば、科学的な成果もあるだろうと思うからです。
でも、どうせなら、迫力ある映像が撮れるといいな。
ところで、「DCAM3」という名前は、ソーラー電力セイル「IKAROS(イカロス)」に搭載された分離カメラ「DCAM1」、「DCAM2」の次ということでいいのかな?
電波無響室:
電波無響室は、壁面に電波吸収体が貼られていて、外からの電波を通さない部屋です。ここでは携帯電話も圏外になります…て、2年前にも書いてますね。
電波無響室には、「はやぶさ2」の電波試験モデルが置かれていました。
これで、機体の形状が通信に悪影響を及ぼさないか、テストするのだそうです。
それにしても、この「機体」…
「アンテナ部以外は、デコレーションです」
さすがに、宇宙研の人はうまいことを言う。
自分だったら、「ハリボテ」と(ry
ちょうど、この電波吸収材(カーボン・マイクロ・コイルと言うそうです)を用いた、電波可視化の実験が始まりました。
そう言うと、「どんな凄い実験だろう?」と思うかもしれません。
簡単に言うと、電波吸収材を電子レンジに入れて、チンするということ。
電子レンジに入れてしばらく。
電波吸収材は次から次へと、勢いよく燃え上がりました。
「おお!」
見ていた人は皆、驚きの声を上げましたが、驚いた人がもう一人。
「あれ?強かったな…」
実験を行った先生自身、ここまで燃えるとは思っていなかったようです。
燃えた後。
「…とにかく、ご家庭では、決して真似をしないで下さいね。まあ、薬品が手に入らないとは思いますが」
真似しないよ…て、まるで漫画だ。
電気推進:
「電気推進」というと、真っ先に頭に浮かぶのはイオンエンジンです。その他にも、いろいろな電気推進が研究中のようで、展示されていました。電気推進の特徴は、燃費がよいことだそうです。
「はやぶさ」つながりで、もう一つ。
「はやぶさ」に使われたイオンエンジンの開発・改良は、現在も続けられています。
ということで、イオンエンジンのデモ。
ちょうど人が少ない時間だったので、今年は写真を撮ってみました。
…ま、まあ、暗かったし、ブレても仕方ないよね。
その横には、大型化したイオンエンジン、薄膜太陽電池等を搭載した「DESTINY」という小型科学衛星のパネルが展示されていました。
この衛星は、開発中の小型ロケット「イプシロンロケット」で打ち上げる予定だとか。
…月でスイングバイ(重力を利用して加速)して、ラグランジュ点(L2)を回るハロー軌道に入って、離脱…
ん?
ちょうど、「イプシロン(ロケット)も3番目になると、競争が激しくて…」と話している方がいたので、訊いてみました。
「ハロー軌道を離脱した後は、どこへ行くんですか?」
小惑星という案もあるが、検討中と断った上で、
「他のラグランジュポイントかな?」
どちらに行くにしても、小型なイプシロンロケットと小型科学衛星の組み合わせで行くには、壮大な旅です。
もちろん、太陽系を離れようとしている「ボイジャー」なんかに比べると、ささやかな旅かもしれません。
それでも、世界が少し広がるように思えるのです。
車や鉄道が発達しても、自転車の便利さは変わりはないし(この例えで、合ってるかな?)。
「10cm四方サイズの超小型衛星」:
大学の研究室を中心に作られている、「キューブサット」と呼ばれる超小型衛星です。
東工大・松永研究室が出展していて、今までに制作したキューブサットを展示していました。
小型衛星と言えば、こちらです。
写真の左から「CUTE1.7+APDⅡ」、「CUTE1.7+APD」、「CUTE-1」。
…これが、あの「CUTE-1」か。
学生達が秋○原等で部品を集め、苦労を重ねて作ったという話は、自分も聞いたことがあります。
もちろん、実機は衛星軌道上にあり、これは実機と同じモデル。
それでも感慨深いものでした。
それはともかく、「10cm四方サイズ」とか「キューブ(立方体)」とか言いながら、見てのとおり、その規格を満たしているのは「CUTE-1」だけ。
それで、聞いてみました。
「もう、この(「CUTE-1」の)サイズではやらないんですか?」
すると、
「今は、大型化の方向に向かっています」
との答え。
まあ、どんどん進歩していくから、大型化するのはわかります。
でも、ちょっと寂しい気がするのはなぜだろう?
で、今、開発中なのが、こちら。
これは、キューブサットではありません。
姿勢制御に使う、「コントロール・モーメント・ジャイロ」の模型だそうです。
スイッチを入れると、まず、真ん中の円盤が回転を始め、さらに円盤自身が軸を中心に回ります。
手で持ってみると「ぐおんぐおん」と、左右に揺さぶられる感じ。かなりの力です。
実際、国際宇宙ステーション等で使われているそうです。
これを小型化して、50cm四方、50kgで12月に打ち上げ予定の衛星「TSUBAME」に搭載するのだそうです。
…そんな大掛かりな仕掛けを、なぜ小型衛星に?
そんな疑問が浮かびます。
聞いてみると、急速な姿勢の変更を可能にすることで、短時間で終わるガンマ線バーストを狙うのだとか。
「そのために、衛星にも自律で判断できるようにするんですよ」
…えっと、これ、学生が作る小型衛星だよね??
そんな話を聞いているうちに、少しうらやましくなってきました。
…自分も、子供の頃にこんなイベント(特別公開)に出会っていたら。
朝、隣合わせた子供くらいとは言いません。せめて、中高生くらいの時に来ていたら。
…理工系に進んで、こんなことをしていたかもしれないのに。
ま、よくよく考えたら(考えなくても)、数学が苦手だったから、間違いなく落第だろうな…
話がどんどん「小さい」方向に行ってしまい、変なカミングアウトまでしてしまいました。
もっと変なことを書かないうちに、ここで一回、終わります。
次回は、もっと「大きな」衛星・探査機について、聞いてきたことを書いていきたいと思います。
文系ですが、もう少しだけ、がんばります。
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